8.月蔵経の予言 その2  

今回も仏教の経典である「月蔵経」の中から末法時の様相とその出来事について見ることにしよう。

「東西南北の四国王が互いにいくさをし、侵略しては人民を殺害し、女を犯し、街を焼き払い、寺院を壊し、僧侶を抹殺し、寺宝をかすめ取る。」  

東西南北の国王が互いに争うというのだから、これは世界大戦に違いない。しかし、ここに描かれたような事態は残酷ではあっても全人類を滅ぼすまでには至らない。だが、月蔵経はこうした世界大戦の末に用いられる途方もない兵器を予言する。

「虚空中に大声あり。地を震う。一切みな遍く動き、なお水上の輪のごとし。城壁砕け落下し、屋宇ことごとく○○し、樹林の根、枝葉、果薬つく。」  

まるで広島や長崎に投下された原爆の様子を見てきたかのような描写である。実際、原爆は空中で炸裂し、巨大な爆発音とそこから発生した熱風がまるで水上の波のように同心円上に広がっていった。その衝撃波は城壁を砕き、屋根をことごとく破壊し、樹木も根こそぎ消滅させた。 この予言が広島・長崎の原爆を予言したものなら、その大難はすでに過去のものであり心配はないが、これが将来、全世界で起こることの予言だとすれば、それはまさに人類掃滅の予言に他ならない。弥勒真経の「火の光地に落ち、化して塵と為す」とあるこの言葉にも通ずるものである。  

また、月蔵経には法滅尽経同様、末法時の様相として僧侶の姿を描写している。

「生活するために僧侶となり、三乗を願わず、後世を恐れず、嘘をついて恥ともしない。貪欲に名利を追 い求め、権力者に諂い、他人を嫉妬し、学問修行の道から遠ざかり、善行もなさず、昼間は人の悪口を言って楽しみ、夜はよく眠る。経典を読まず、そのかわり興味半分の読み物を好み、仏教の戒律を捨てて女性とたわむれる。衣服を飾り、名利のためには卑俗な営業をする。俗人と交際して販売したり、農地を私有する。また、争いを好み、有徳の僧侶や学問の深い僧侶を嫉妬して排斥し、同席することを嫌う。無作法な言葉を使って他人をののしり、俗人の悪徳を讃美して媚びへつらう。このようなものが私の教えを守るべき寺で出家するのだから、まさに偽物であり、賊であり、大悪人である。」  

実に細かな報告である。ここでも、まるで現時点での仏教界に身を置く僧侶の姿を見てきたかのような描写である。月蔵経は、こうした光景が現出した世界を末法といっている。だとすれば、まさに今が末法に他ならないことを誰もが認めるだろう。  

道が帝王にあれば高徳者が帝位につき、道が聖人にあれば高徳者は聖人として、またはその弟子として降世される。しかし、今、道は庶民にある時代。有徳の真人はまさに俗世に隠れ、道の伝播を待っておられるのである。言葉を換えて言えば、今時は高徳者が宗教家となって道を求める時代ではなく、俗に混じって道を求め、道を伝える、まさに「和光同塵」の時代だということだ。 だから、宗教家の顔をした俗人が、月蔵経のいう僧侶の偽者が、名利のために卑属な営業をしたとしても何ら不思議なことではない。それが末法であり、法滅尽の時代なのである。

参考文献:釈迦の予言(菊村紀彦著)